
経歴
背景
マイケル・トーネット(1796年7月2日 – 1871年3月3日)は、ライン川沿いのボッパルトに生まれたドイツ=オーストリアの家具職人で、皮なめし職人の親方の息子でした。大工の徒弟修業を終えた後、1819年にボッパルトで自身の工房を開きました。1830年代には、接着して曲げた木製の薄板を用いた家具の実験を行い、1836年には「ボッパルト積層木椅子」を生み出しました。1842年、メッテルニッヒ公によってウィーンに招かれ、息子たちとともにリヒテンシュタイン宮殿の内装に携わりました。そして1849年に自身の会社を設立し、1853年にはその経営を息子たちに引き継ぎ、「ゲブリューダー・トーネット(トーネット兄弟)」社となりました。
特徴的なスタイル
トーネットの画期的な発明は、熱い蒸気を用いて、軽くて強靭な無垢材を曲線状に曲げる技術でした。その結果生まれたのは、軽やかで優雅、かつ耐久性に優れた曲木家具であり、重厚な彫刻を施した従来の家具とは一線を画すものでした。彼のデザインは少数の規格化されたパーツにまで簡略化され、分業による生産が可能となり、平らな状態で輸送して現地で組み立てることもできました。
代表作
- No.14/214 椅子(1859年):ウィーンのコーヒーハウス用の椅子で、1930年までに約5,000万脚が生産されました
- No.4 椅子:1850年からウィーンのカフェ・ダウムの内装に使用されました
- No.1 椅子(1850年)およびNo.1 ロッキングチェア(1860年頃)
- 1851年ロンドン万国博覧会で銅メダル、1855年パリ万国博覧会で銀メダルを受賞
遺産
トーネットは、工業的家具生産の礎を築いた人物として評価されています。1871年にウィーンで亡くなるまでに、息子たちが率いる会社はヨーロッパ各地に加え、シカゴやニューヨークにも販売拠点を持つようになっていました。ドイツ・フランケンベルクにあるトーネットGmbHは、その五代目・六代目の子孫が株主として経営に携わっており、現在も彼の曲木椅子を製造し続けています。また「214」は、2021年にドイツ持続可能性賞(デザイン部門)、2024年にドイツ・エコデザイン賞を受賞しています。

